現病歴:下血の精査の結果,大腸癌と診断され,消化器外科にて右結腸の摘出手術が施行された.以降,術後縫合不全,感染症などのさまざまな合併症を併発し,辻褄の合わない言動や興奮状態がみられるようになった.不眠に対して使用されたゾルピデム服用後に夜中にベッド柵を投げようとしたり,「手を出すな」などといい興奮するような状態がみられたため,診断,加療目的にて,精神科に紹介となった.
既往歴:特記すべきことはない.
病前性格:穏やかだがやや神経質な面もある(家族の弁).
生活歴:60歳で車部品製造会社を定年退職.その他,特記すべきことはない.
家族歴:特記すべきことはない.
初診時所見:外科病棟への往診時,自身で,今後の状態への不安,腰部の痛み,不眠などを訴えた.初診時には場所,時間などの見当識はおおむね保たれていたが,一方でややぼんやりしており,集中力の保持は難しいようであった.また,当科への紹介の直接の契機と