診療支援
治療

 本書は2005年に上梓した『イラスト&チャートでみる急性中毒診療ハンドブック』の改訂版ですが,医学書院の御厚意で人気シリーズの『レジデントマニュアル』に加えていただくという幸運に恵まれました.前作のA5判からコンパクトなB6変型判に変えて,救急医療現場ですばやく白衣のポケットから取り出して必要最低限の情報が得られるようにしました.また,本書は2009年に上梓した『臨床中毒学』のポケット版という位置づけでもあります.詳細な知識が必要であれば,多忙な仕事の合間に『臨床中毒学』を一読していただければ幸いです.

 改訂にあたり,新たに試みたことがいくつかあります.まず,「初期治療のポイント」を容易に記憶するために,前作の語呂合わせを洗練しました.例えば,「血液灌流法および血液透析法の適応のある薬毒物」を記憶するための語呂合わせを「青魚入りのCAT-MEAL(猫の食事)で血がサラサラ(浄化)」としてみました.遊び心で楽しみながら覚えてくれれば筆者として「してやったり」の思いです.

 次に,「ミステリ散歩」の中で毒殺や中毒事故を扱った推理小説を紹介しました.通勤を自動車から電車に変えて,10代の頃に一度は読んだ懐かしいアガサ・クリスティ,エラリー・クイーン,ディクスン・カーの作品だけでなく,日本の新進推理作家の作品などを次々と読破しました.自室には付箋やアンダーラインのある単行本が山積みです.

 『臨床中毒学』ではいずれもイニシャルがMの3人娘(3M's)と一緒に,釣り,山菜狩り,キノコ狩りとアウトドアを楽しみながら毒性生物の写真を撮影したのですが,本書では絵画教室に通っている妻に毒性生物の水彩画を依頼しました(その後,3M'sは4M'sになりました.新しく加わった末娘と海山の毒性生物を探し回る日が来るのを楽しみにしています).

 改訂まで7年もの年月が過ぎ去ってしまいましたが,この間に急性

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