以前は,消化管からの薬毒物の吸収を阻害すれば,患者の症状はやわらぎ,予後は改善するはずだと直感的に信じられ,催吐,胃洗浄,下剤の投与などの消化管除染法が慣例的に施行されていた.ところが現在では,EBM(evidence based medicine)の普及によって適応がかなり限られている.消化管除染法としては,第1選択が活性炭の投与で,いくつかの適応のあるものには腸洗浄を施行するが,吐根シロップによる催吐,胃洗浄,下剤の投与は推奨されていない.
胃洗浄
1)胃洗浄の適応
・胃洗浄は,生命を脅かす可能性のある量の薬毒物を服用してから1時間以内に施行できなければ考慮すべきではない.
胃洗浄が有効であるエビデンスはないのに,後述するような合併症が有意に増加する.したがって,胃洗浄を慣例的に施行してはならない.活性炭に吸着される薬毒物であれば,たとえ生命を脅かす可能性のある量を服用していても,活性炭の