診療支援
治療

2ブチロフェノン誘導体
上條 吉人
(北里大学特任教授・中毒・心身総合救急医学)

最初の10分メモ

含有する製品

・チミペロン(セルマニル®,トロペロン®)

・ハロペリドール(セレネース®,ハロステン®,ハロペリドール®,リントン®,レモナミン®)

・ブロムぺリドール(インプロメン®,プリンドリル®,ルナプロン®)


診断のポイント

・統合失調症などの病歴またはブチロフェノン誘導体の服用歴のある患者に,急性ジストニアなどの錐体外路症状,QTc時間の延長などを認める.


治療のポイント

・急性ジストニア,アカシジアにはビペリデンを筋注.無効であれば,ジアゼパムを静注.

・トルサード・ド・ポアンツには,循環動態が不安定であれば電気的除細動を施行.循環動態が安定していれば硫酸マグネシウムかイソプロテレノール塩酸塩を静注,または,オーバードライブぺーシングを施行.


Do&Don't

・QTc時間の延長を認めたら,トルサード・ド・ポアンツなどの心室性不整脈の発現に注意.

・プロカインアミドなどのClass 1a抗不整脈薬は膜興奮抑制(キニジン様)作用を増強するので禁忌.


概説

 ハロペリドールをはじめとしたブチロフェノン誘導体は,フェノチアジン誘導体とともに従来型抗精神病薬に分類されている.ブチロフェノン誘導体は,統合失調症をはじめとした精神障害の治療に用いられてきた.近年,抗精神病薬は,錐体外路症状などの副作用の少ない非定型抗精神病薬が主流となっているため,ブチロフェノン誘導体の処方量は激減している(化学構造:図1).


薬物動態

分布容積が大きい血液浄化法は無効.

・大部分は肝臓でチトクロームP450酵素系によって代謝されて胆汁中または尿中に排泄される.

・一部分は未変化体として尿中に排泄される.


毒性のメカニズム

・ブチロフェノン誘導体は,強いドパミンD2受容体遮断作用によって抗精神病作用を発揮するが,フェノチアジン誘導体とは異なり,ヒスタミンH1受容体遮断作用,ムスカリン受容体遮

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