診療支援
治療

21セロトニン類似物質(5-MeO-DIPT,LSD,幻覚性キノコ)
上條 吉人
(北里大学特任教授・中毒・心身総合救急医学)

最初の10分メモ

含有する製品

・5-MeO-DIPT(フォクシー)

・LSD(アシッド,ペーパー,タブレット,ドラゴンなど)

・幻覚性キノコ(マジックマッシュルーム)


診断のポイント

・これらの薬物の使用歴があるまたは使用を疑わせる所見がある患者に,幻視などの精神症状に加えて散瞳,頻脈,高血圧などの交感神経興奮症状を認める.

・LSDは,暗所で紫外線を照射すると青白色の蛍光を発する.


治療のポイント

・照明を落とした静かな個室など刺激の少ない病室で治療する.

・薬物療法は不要なことが多いが,不穏・興奮があればジアゼパムを,幻覚が著明であればリスペリドンを投与する.


Do&Don't

・LSDの摂取が統合失調症の増悪を促進する可能性があるので注意する.

・摂取後数日~3か月後に,幻視などの精神症状が再燃するフラッシュバックが生じることがあるので注意する.


概説

 5-MeO-DIPT(5-methoxy-N, N-diisopropyltryptamine)は,催幻覚作用のある薬物の1つである.錠剤を経口摂取されることが多いが,白色結晶の粉末を経鼻摂取または吸煙されることもある.5-MeO-DIPTは,耐性が生じやすいが依存は弱い.2005年3月より麻薬及び向精神薬取締法で規制されている.

 LSD(d-lysergic acid diethylamide)は,催幻覚作用が非常に強い薬物である.カプセル,錠剤,粉末,液剤,キャンディや角砂糖に添加したもの,ろ紙のようなシート状の厚紙に溶液を浸みこませたものなどの形状で流通している.LSDの身体依存の報告はなく,精神依存は弱い.1970年より麻薬及び向精神薬取締法で規制されている.

 幻覚性キノコは,催幻覚性アルカロイドであるシロシビン(psilocybine)およびシロシン(psilocin)を0.03~1.5%の濃度で含有している.生または乾燥キノコ

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