診療支援
治療

304-ヒドロキシクマリン誘導体(ワルファリン,スーパーワルファリン)
上條 吉人
(北里大学特任教授・中毒・心身総合救急医学)

最初の10分メモ

含有する製品

・ワルファリン〔医薬品:ワーファリン®,殺鼠剤:メリーネコクマリン®,メリーネコ3号®,サンケイクマリン®,固形チューモア1号®,固形チューモア2号®,チューモア「コンク」®,ヤソール®,固形ラテミン®,粉末ラテミン®,水溶性ラテミン錠®,ラテミンコンク®,強力ローダン®,強力デスモア(固形)®〕

・ジフェチアロン(デスモアプロ®,デスモアプロ・ブロック®,スーパーデスモア®)


診断のポイント

・ワルファリンまたはスーパーワルファリンの曝露歴,または曝露が生じる状況がある患者に,出血症状,プロトロンビン時間(PT)の延長,PT-INRの異常を認める.

・ビタミンK欠乏を生じる原因がないのに,血中のビタミンK依存性凝固因子である凝固因子Ⅱ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹの活性は低下しているが,ビタミンK非依存性凝固因子である凝固因子Ⅴの活性は正常である.

・血中のビタミンKエポキサイド濃度の上昇,および,血中のビタミンKエポキサイド/ビタミンK比の高値を認める.

・スーパーワルファリンは,ワルファリンに比べて毒性がはるかに強く,持続時間が長いので,両者の鑑別は非常に重要.


治療のポイント

・出血性ショックまたは貧血には赤血球MAPおよび新鮮冷凍血漿(FFP)の輸血を施行.

・出血がある,または出血の危険が高い場合はFFPを輸血して欠乏している凝固因子を補う.

・PTの延長またはPT-INRの異常にはビタミンK1を経口投与する,または,筋注または緩徐に(1mg/分以下の速度で)静注.

・スーパーワルファリンでは,PT-INRをチェックしながら,ビタミンK1の投与を適宜繰り返す.


Do&Don't

・PT-INRを適宜チェックする.スーパーワルファリンでは長期間のモニターが必要.

・4-ヒドロキシクマリン誘導体の摂取後1~2日はPTの延長やPT-INRの異常を認めないので注意.

・胃管の挿入によ

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