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治療

52毒ヘビ(マムシ,ハブ)咬傷
上條 吉人
(北里大学特任教授・中毒・心身総合救急医学)

最初の10分メモ

含有する生物

■マムシ

・マムシは,奄美大島以北の日本全土の平地から山地の森林,田畑の周辺,やぶなどに生息し,ネズミや小鳥などを捕食している.体長は45~75cmで,頭部は幅広く三角形で,頸部は細くくびれ,胴は太く,尾は短い.体色は茶褐色から赤褐色まで変異が多く,背には暗褐色の銭型斑紋を有する.マムシは,外敵が接近すると,体長の1/3を伸ばして攻撃する.

■ハブ

・ハブは,奄美群島および沖縄群島に生息している.夜行性で,日中は岩の穴や割れ目,木の根元の穴,石垣,古墳のなかに潜み,夜間は地上および樹上で活発に活動し,ネズミ,小鳥,トカゲ,カエルなどを捕食している.体長は1~2.2mで,頭部は三角形で大きく,頸部は細く,胴は長い.体色は黄褐色または白色の地に黒褐色の不規則な斑紋がある.ハブは,外敵が接近すると,普通は体長の1/3程度,興奮すると2/3を伸ばして素早く攻撃し,口を開くと同時に,毒牙が立ち上がる.


診断のポイント

・ヘビに咬まれた可能性のある患者に,牙痕,局所の疼痛,腫脹を認める.

・牙痕は,通常は2個であるが,1個のみの場合,および,3個以上の場合もある.

・咬傷後1~2時間経っても局所の疼痛や腫脹が生じなければ,咬まれてもマムシ毒またはハブ毒が注入されない,無毒咬傷である可能性が高い.

・ヘビを目撃している場合は,図鑑などを見せてマムシまたはハブかどうかを確認する.


治療のポイント

■マムシ咬傷

・軽症ではセファランチンの投与が推奨.

・表1にマムシ咬傷による腫脹のGrade分類を示す.受傷後6時間以内にGrade Ⅲ以上となれば抗毒素の投与が推奨.

■ハブ咬傷

・疼痛および腫脹が咬傷部位に限局せずに拡がる,もしくは,症状が進行性であれば抗毒素の投与が推奨.


Do&Don't

・四肢の径を測定し,腫脹の拡がりを油性マジックで印し,腫脹の進展の度合いを評価.

・咬傷部より中枢部の

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