学生にとっても,研修医にとっても,さらにまた実地医家にとっても,内科臨床をどのように学んだらよいか,常に悩んでおられることと思う.広範な内科学,絶えず流動的に躍進して,とどまるところを知らない内科学,しかも臨床医学の基礎としての内科学,私たちの心を魅了してはなさない内科学,この学問をどのように学んだらよいか,悩みをもつのは当然のことであろう.
内科学における診断と治療を中心に,各種疾患の概念や考え方について,up to dateな最新知識を要領よくとりまとめた臨床内科書は皆無であるといってもよい.なるほど信頼に足る内科学の教科書はわが国にもいくつかあるが,本書は決して単なる内科学教科書の役割を果たそうとしているものではない.ベッドサイドで,すぐに,しかもそのまま診療に役立つガイドブックとしての役割を演じさせようとして編集されたものである.
年とともに進展していく内科臨床の最新の知識を簡単明瞭に記載して,実地診療に役立てたいという編集者の願いが本書にはこめられているのである.
いま,本書の特徴の2,3をとりまとめてみると,つぎのようになる.
1)診断と治療に対する心構え,考え方をまず述べ,ついで病歴の作成をproblem oriented systemを中心に行うようすすめていること.
2)各種内科疾患をもった患者を診療する際に,基本的に重要な水・電解質代謝の障害,あるいは内科以外の臨床各科の技術,とくに皮膚病変および眼底のみかたを解説したこと.
3)救急患者のみかたについて,きわめて要領よくとりまとめてあること.
4)各種の内科疾患について,概念・臨床所見・検査所見・診断・鑑別診断・経過と予後・治療の順序で,簡潔しかも明瞭に記載し,知識の整理に役立てていること.
5)重要にして,しかも手もとに求めやすい,いくつかの文献をあげて,さらに勉強を深めることができるように配慮して