診療支援
治療

【1】頭痛,顔面痛
headache,facial pain
加島 雅之
(熊本赤十字病院・総合内科部長)

症候を診るポイント

●急性と慢性に大きく弁別する.

●急性または急性に頭痛の性状変化をきたしたものでは,致死的または機能予後不良となるといった緊急性の高い疾患の除外が重要.

●慢性のものでは,漫然とした鎮痛薬処方での対応を避ける.

▼定義

 頭痛とは頭部の全体または一部の疼痛の総称で,眼の奥や額部といった一部の顔面の疼痛も含む概念.一方で,頭皮局所の外傷や感染症による疼痛は通常,頭痛としては取り扱わない.

 頭痛はその原因となる病態により一次性頭痛二次性頭痛に分けられる.一次性頭痛とはある種の特徴を有する頭痛が疾患名になっているもので,片頭痛や緊張型頭痛などが挙げられる.二次頭痛はほかのなんらかの器質疾患に随伴して生じる頭痛を指す.

 顔面痛は顔面の疼痛の総称であり,頭痛の一部と混在することもある.顔面に存在する眼・鼻・耳・口唇といった器官に限定した痛みは分離されて取り扱われることが一般的.

▼病態生理

 頭痛の機序にはさまざまなものがあるが,大きく頭蓋内と頭蓋外の病態に起因するものに分けられる.

 頭蓋内の病態に起因するものとしては,脳圧亢進(脳腫瘍,脳浮腫など),炎症性(髄膜炎など),頭蓋内血管(動脈解離など)の障害,低髄圧(低髄液圧症候群など)によるものがある.

 頭蓋外の病態に起因するものとしては,頭蓋外血管に起因するもの(片頭痛など),頭頸部に分布する神経原性(三叉神経痛など),頭頸部の筋肉の緊張によるもの(緊張型頭痛),眼や副鼻腔などの関連痛,インフルエンザなどの感染症における筋痛と知覚過敏の一型としての頭痛,心因性によるものなどがある.

 顔面痛は,顔面の皮膚での炎症,顔面の感覚神経である三叉神経の刺激症状,顔面の筋肉痛および,歯,副鼻腔,内耳の病変,心血管病変の放散痛である場合がある.

▼初期対応

 特に急性発症の頭痛・顔面痛は慎重に致死的疾患・機能予後不良の疾患の鑑別が必要である.

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