症候を診るポイント
●腰背部痛のred flagに注意.
●腰背部痛=整形疾患と早合点しない.
▼定義
頸部痛は生涯罹患率40~70%で,肩こりからくる頸部痛(項部硬直:neck stiffness)は頸部痛のなかでは高頻度の原因である.頸部痛の好発年齢は50歳前後,男性より女性に多く,原因はさまざまである.高齢者では,変性による頸椎症以外に,リウマチ性多発筋痛症の症状であったり,まれに心筋梗塞や腹部疾患からの放散痛や癌の転移であることもあり注意が必要である.
▼病態生理
疼痛を起こす感覚神経がある部位は,脊髄,そのまわりの硬膜,神経根,さらには頸椎周囲の靱帯や椎間関節,筋肉があり,それらどの部位に異常があっても頸部痛を起こしうる.それぞれの部位からくる痛みをこらえようと首・肩の筋緊張が起こり,痛みはさらに増強することもある.頸椎には全く病変がなく,肩疾患であっても高頻度に頸部痛を訴えるので肩の診察も忘れずに行う.
頸椎病変では,軟部組織・椎間板・骨の変性変化による頸椎症,椎間板ヘルニアなど原因はなんであれ脊髄,そのまわりの硬膜,神経根を障害するようであれば痛みは起こりうる.それぞれの特徴を理解する(表1-18図).神経根障害は,腰部では椎間板ヘルニアがその原因として多くなるのに比して,頸部では椎間板ヘルニアより椎間孔の狭小化のほうが頻度が高くなるといわれている.
▼初期対応
まずは外傷,髄膜炎を除外する.そして下記のような原因疾患を念頭に病歴聴取,身体診察を行うが,肩疾患でも頸部痛を訴えるため,まずは痛みがどこからきているか,神経原性か,筋肉による問題か,放散痛か考える.特に感覚障害や筋力低下を認める場合には,神経原性で頸椎の病変を疑わせる.しびれや放散痛などの随伴症状がある場合その部位はどこか? 皮膚分節の知識が重要になる.深部腱反射と筋力低下はそれぞれの神経支配を覚えておく(表
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