症候を診るポイント
●患者が「関節が痛い」と訴えて来院した場合には,疼痛部位の評価,関節痛と関節周囲痛の鑑別,関節炎と非炎症性関節痛の鑑別を行い,関節炎が存在するかを確認する.
●単関節炎においては,化膿性関節炎を見逃さないことが重要である.単関節炎を認めた場合には関節穿刺を必ず遅滞なく行う.
●多関節炎の診断にはreview of systemと特徴的な身体所見の確認が重要である.
▼病態生理
患者が関節炎を呈している場合,なんらかの原因(細菌感染症,偽痛風・痛風などの結晶など)により関節内での炎症が引き起こされる.結果として体表面からは関節の腫脹と熱感が観察され,画像所見では関節の滑膜肥厚もしくは関節液貯留が確認される.
化膿性(細菌性)関節炎は,通常は無菌であるはずの関節内に感染微生物が侵入することで発症する.手術,外傷,咬傷などを原因として直接侵入する場合もあれば,遠隔の感染巣から血流を