診療支援
治療

【4】けいれん
convulsion
髙橋 宏瑞
(順天堂大学・総合診療科)

症候を診るポイント

●初期対応を身につける.

●てんかんとけいれんの違いを理解する.

●原因検索と治療を同時に進めていく.

▼定義

 けいれんとは「自分の意思とは無関係に,全身または一部の筋肉が発作的に収縮する状態」を指す.さまざまな原因で引き起こされ,てんかん発作もその1つである.てんかんは病名で,けいれんは病態であることを理解する.筋肉が収縮したままの状態となる強直性けいれん,収縮と弛緩を繰り返す間代性けいれん,その両方の特徴をもつ強直間代性けいれんの3タイプがある.

▼病態生理

 けいれんは中枢神経系のニューラルネットワークに電気的に過剰な刺激が起こったときに出現する.頭蓋内病変,電解質異常,内分泌異常,薬剤性などさまざまな原因で引き起こされ,原因不明なことも多々ある.

▼初期対応

 まずは緊急性を確認するため,救急対応の原則ABC(A:airway,B:breathing,C:circulation)の3つおよびバイタルサインを確認する.airwayやbreathingに問題があれば気管挿管を行い,circulationに異常があれば輸液と昇圧薬の使用を検討する.緊急性がないことを確認したら,原因を探りつつ,けいれんを止めるための治療を行う.原因によって必要な治療は異なるため,常に原因が何かを考えながら対応する必要がある.

▼鑑別診断

 けいれんは,まずは「てんかんとそれ以外」というカテゴリーで考える.てんかんは慢性疾患であり再発性という特徴をもつため,初回のけいれんを診たときに「てんかん」とは診断しない.けいれんを認めた場合にはそれが何度目のけいれんかを確認する.この場合,てんかんの可能性も考慮しつつ,薬剤性,低血糖,電解質異常,中枢神経系の感染症,出血,梗塞などがないかを調べる(表1-62)

▼基本的な治療方針

 けいれんは,その不随意運動のために気道を閉塞させ,原因によっては意識障

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