症候を診るポイント
●せん妄,特に低活動型のせん妄はよく見逃されている.
▼定義
せん妄は急激な発症で起こる意識障害で,注意力の欠如や思考の錯乱がみられる.時間で変動するのが特徴である.70歳以上の入院患者の1/3に発症するという報告があるようにかなり頻度は多いが,見逃されることも多い.せん妄は過活動型と低活動型と両者の特徴が混在した混合型がある.過活動型せん妄は興奮や不穏がみられ,せん妄全体の25%を占める.低活動型のせん妄は,無関心や動作緩慢がみられるが,過活動型せん妄と比べて見逃されやすく予後が悪い.
▼病態生理
せん妄はさまざまな要因によって起こる.認知機能障害や高齢などもともと本人のもつ脆弱性(準備因子)と感染症,薬剤,環境因子など外的な要因(誘発因子)が相互に影響しあって発症する.
▼初期対応
CAM(Confusion Assessment Method)が診断にはよく使われており,