診療支援
治療

【17】睡眠障害,不眠
sleep disorder,insomnia
笹木 晋
(高槻病院・総合内科)

症候を診るポイント

●具体的な睡眠状況を確認する.

●不眠の原因となる身体疾患や精神疾患,薬剤を評価する.

▼定義

 睡眠障害は睡眠に関連する障害で,睡眠障害国際分類第3版では不眠症,睡眠関連呼吸障害群,中枢性過眠症群,概日リズム睡眠・覚醒障害群,睡眠時随伴症群,睡眠関連運動障害群に大きく分けられている.

 特に不眠症は成人の15~35%にみられるという報告があるほど頻度が多い症状である.不眠は入眠が困難であったり,睡眠維持が困難であったり,早期に起きてしまう状態で,日中に眠気や疲労や倦怠感が起こり,注意力の低下や攻撃的,衝動的などの問題行動を起こす原因となる.また,不眠は心血管イベントやうつ病を増やすことが知られており,適切に対処したい.

▼病態生理

 不眠はさまざまな要因によって起こり,身体疾患や精神障害に随伴することも多い.薬剤そのものでも不眠となり,逆に薬剤の中断による反跳性不眠も起こる.高齢になるにつれ,睡眠時間は短縮し,睡眠の質が下がったり,睡眠覚醒のリズムが変化する.

▼初期対応

 不眠に対していつから眠れなくなったか,眠ろうとする時間,寝つくまでの時間,起床時間,昼寝の有無,中途覚醒の有無について聴取する.ここ最近の睡眠状況を個人で記入する睡眠日誌があれば参考になる.仕事や勤務形態,睡眠前の飲酒の有無も確認する.

 併存疾患も不眠の原因となりその確認も行う.心疾患や呼吸器疾患があれば呼吸苦で眠れない可能性がある.痛み全般も不眠の原因となる.前立腺肥大などによる夜間頻尿がないかも確認する.精神疾患があると不眠となりやすく,抑うつや不安がないか尋ねる.抑うつがあると入眠困難,中途覚醒,早朝覚醒という不眠症状がみられる.

 入院患者では不眠の頻度は高いが,せん妄の前駆症状である可能性があるので,せん妄の中核症状である睡眠覚醒リズムの障害や注意力障害がないか評価を行う.

▼鑑別診断

 ナルコ

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