疾患を疑うポイント
◉医療・介護関連肺炎
●介護を受けている高齢者や通院で血管内治療を受けている者に発症する.
●中枢神経系疾患などの基礎疾患による誤嚥のリスクをもつものに発症することが多い.
◉院内肺炎
●入院後48時間以降に発症する肺炎.
学びのポイント
◉医療・介護関連肺炎
●発症機序として誤嚥性肺炎,インフルエンザ後の二次性細菌性肺炎,透析や抗がん化学療法,免疫抑制薬の使用による耐性菌による肺炎や日和見感染による肺炎が主である.
●分離菌や予後は,市中肺炎と院内肺炎の中間に位置している.
◉院内肺炎
●MRSAや緑膿菌などの薬剤耐性菌による肺炎が多く,市中肺炎や医療・介護肺炎に比して予後は不良.
▼定義
➊医療・介護関連肺炎
①長期療養型病床群もしくは介護施設に入所している(精神科病棟も含む),②90日以内に病院を退院した,③介護〔performance status 3(限られた自分の身のまわりのことしかできない.日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす)以上〕を必要とする高齢者,身体障害者,④通院にて継続的に血管内治療(透析,抗菌薬,抗がん化学療法,免疫抑制薬などによる治療)を受けている,のいずれかに該当すれば診断できる.
➋院内肺炎
入院後48時間以降に新しく発症した肺炎であり,入院時すでに感染していたものは除く.
気管挿管・人工呼吸器開始後48時間以降,新たに発症した肺炎を人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia:VAP)とよぶ.
▼病態
医療・ケアの結果として薬剤耐性菌による肺炎や日和見感染による肺炎を生じる.一方で嚥下機能の低下に関連する誤嚥性肺炎や終末期肺炎あるいは老衰の過程で発症する肺炎のかたちをとることも多い.適切な抗菌薬療法を行っても生命予後を改善するとは限らないことに留意する.
▼疫学
検出菌としては,医療・介護関連肺炎で肺炎球菌が最も
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