疾患を疑うポイント
●非腫瘍性呼吸器疾患では必ず鑑別に挙げる.特に高齢者.
●2週間以上続く咳嗽,発熱,体重減少,寝汗などに留意.
●呼吸器症状のない例もある.
学びのポイント
●空気感染する.その対策を理解する.
●感染者の10~15%が発病.
●画像検査だけで肺結核の診断は不可能.喀痰の抗酸菌検査が必須.
●結核菌を検出したら必ず薬剤感受性を実施する.
●感染症法上,診断したらただちに保健所に届け出る義務がある.
●治療には多剤併用療法を用いる.
●薬剤感受性により使用薬剤と治療期間は決まる.
▼定義
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)により引き起こされる呼吸器感染症.
▼病態(図2-9図)
結核症の感染様式は空気感染である.肺に侵入した結核菌は肺胞マクロファージに貪食される.貪食された結核菌が肺胞マクロファージで完全に殺菌されれば感染は成立しないが,そうでない場合には感染が成立する.結核菌は肺胞マクロファージ内で増殖しながら,肺門リンパ節に運ばれ,Tリンパ球が活性化され細胞性免疫が誘導される.その結果ツベルクリン反応(ツ反)およびインターフェロンγ遊離試験(interferon-gamma release assay:IGRA)が陽性になる.肺の感染部位と肺門リンパ節には滲出性病変が形成され初期変化群とよばれる.そこでは活性化マクロファージに貪食された結核菌の増殖は抑制され,細胞性免疫反応により形成された肉芽腫内に菌は封じ込められ,ほとんど分裂しない休止状態になる.
感染者のうち,発病する者は10~15%程度であり,感染後2年以内(早期発病)が多いが,時には初感染から何年,何十年も経過してから発病することもある(晩期発病).結核感染者の発病リスク比が4以上を示すものとしては,HIV感染/AIDSや臓器移植(免疫抑制薬使用),珪肺,慢性腎不全による血液透析,2年以内の
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