疾患を疑うポイント
●外来を受診する呼吸器疾患のなかで最も多い.
●鼻汁,咽頭痛などの上気道症状と,咳嗽,喀痰などの下気道症状が鑑別のポイント.
●急性喉頭蓋炎など致死的になる可能性のある疾患を見逃さない.
●長引く咳嗽では結核も鑑別する.
学びのポイント
●上気道と下気道の解剖学的構造を念頭におき,症状を理解する.
●上気道感染症はウイルス性の頻度が高いため,抗菌薬の適応となる疾患を鑑別する.
●下気道感染症では,肺炎との鑑別が重要.
▼定義
気道は,喉頭を境として,解剖学的に上気道と下気道に分けられ,上気道感染症の多くは,ウイルス性の感冒あるいは上気道炎である.臓器特異的感染症としては,中耳炎,副鼻腔炎,咽頭炎,扁桃腺炎があり,喉頭においては喉頭蓋炎/喉頭炎,声門下喉頭炎(仮性クループ)などの感染症がある.
下気道感染症は,気管炎,気管支炎,細気管支炎があり,一般に肺炎や胸膜炎も含まれる.また,上気道炎はしばしば気管支炎を合併することもあり,連続する感染症と理解される.図2-2図に解剖学的部位と感染症の関係を示す.
▼病態
上気道感染症の多くはウイルス性であり,抗菌薬の適応とならない.細菌性の感染症としては,中耳炎,副鼻腔炎,咽頭炎,扁桃腺炎がある.中耳炎と副鼻腔炎は肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae),インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae),モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)が高頻度に原因菌となり,咽頭炎,扁桃腺炎はウイルスが原因となることが多いが,小児では溶連菌によるものもあり,確定した場合や疑った場合には抗菌薬の適応となる.喉頭蓋炎はインフルエンザB型菌(Hib)による細菌性が多く,声門下喉頭炎としてはパラインフルエンザウイルスなどによる仮性クループ,細菌性では日本では近年報告例はないが喉頭ジフテリ
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