診療支援
治療

【1】気管支喘息
bronchial asthma
浅野 浩一郎
(東海大学教授・呼吸器内科学)

疾患を疑うポイント

●発作性の呼吸困難,喘鳴,咳が特に夜間・早朝にみられる.

●小児~高齢者のいずれの年齢でも発症しうる.

学びのポイント

●喘息の本態は慢性の気道炎症であり,長期管理における第一選択薬は吸入ステロイド薬.吸入ステロイド薬治療の普及により,喘息死は減少している.

●臨床的には発作性の気道狭窄(可逆性気流制限)による喘鳴などを特徴とし,発作時の第一選択薬は速効性の気管支拡張効果がある短時間作用性吸入β2刺激薬.発作は夜間・早朝に生じやすく,ウイルス気道感染,アレルゲン(ダニなど)曝露などにより誘発・増悪する.

●特殊な病型としてアスピリン喘息があり,シクロオキシゲナーゼ阻害作用のある酸性非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の使用により誘発される.

▼定義

 喘息は,発作性に気道狭窄とそれに伴う症状(呼吸困難,喘鳴,咳嗽)を繰り返す疾患であり,その背景には慢性の気道炎症と気道過敏性亢進がある.

▼病態

 喘息の病態においては,好酸球浸潤を特徴とする気道炎症が重要な役割を果たしている.好酸球以外にもさまざまな炎症細胞(好酸球,リンパ球,マスト細胞など)や気道構成細胞(気道上皮細胞,気道平滑筋細胞など)が病態に関与する.さらに液性因子(サイトカイン,炎症性メディエーター)が重要であるが,特に,①Th2細胞が産生するTh2サイトカイン(IL-4,IL-5,IL-13),②好酸球や肥満(マスト)細胞が産生するロイコトリエンが重要である.アトピー型喘息では特定の吸入抗原(アレルゲン)特異的IgEが産生され,IgE受容体を発現する肥満細胞を介したⅠ型アレルギーが病態に関与する.

 気道炎症は気道過敏性を亢進させ,発作性の気道狭窄を引き起こす(図2-14).気道炎症が長期間持続すると気道構造の変化(リモデリング)を惹起し,非可逆性の気流制限をもたらすこともある.

▼分類

 Ⅰ型アレルギーの関与の有

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