▼原因
不明である.薬剤性と考えられるものもあるが,その場合は,薬剤性好酸球性肺炎に分類する〔第12章の→も参照〕.
▼症状
50歳代に発症のピークがあり,男女比は1:2で女性に多い.通常無症候性に発症し,診断までに半年以上を要することが多い.頻度の高い症状は,微熱,咳,呼吸困難,全身倦怠感などである約半数の患者が喘息を合併している.
▼検査成績
診断時には軽度~中等度までの末梢血好酸球増加がみられる.好酸球は喀痰中にも認められ,また約2/3の患者で血清総IgEが上昇する.赤沈の亢進も認められることが多い.
肺機能検査では,喘息の合併がない症例では拡散能の低下を伴う拘束性障害が認められ,喘息を合併する症例では種々の程度の閉塞性障害もみられる.呼吸機能障害の程度に応じて,低酸素血症を呈することが多い.
気管支肺胞洗浄では,通常25%を超える好酸球増加が認められる.
生検では,病理学的に肺胞と肺の間質に好酸球,リンパ球の浸潤が見られる.通常,血管炎や肉芽腫は認められない.
胸部X線では特徴的な所見として,両側肺野の末梢側2/3に,広範で濃度の高い浸潤影が認められ,肺水腫の肺門優位の浸潤影〔蝶形陰影(butterfly shadow)〕に対比して,肺水腫のネガ像(negative image of pulmonary edema)といわれ(図2-37図),本症に比較的特徴的とされるが,全患者の25%に認められずにすぎず,他にも特発性器質化肺炎,サルコイドーシス,薬剤性肺炎などでも認められる.胸部CTでは胸水貯留はまれで,肺野条件では,末梢優位の浸潤影や胸壁と平行に走る帯状の浸潤影が認められる(図2-37図).
▼治療・予後
ごく一部の患者は無治療で軽快するが,大多数の患者がステロイド投与を必要とする.通常プレドニゾロン薬30~40mg/日を経口投与する.予後は比較的良好で死亡例は少ない
関連リンク
- 新臨床内科学 第10版/(1)慢性好酸球性肺炎
- 治療薬マニュアル2024/プレドニゾロン《プレドニン プレドニゾロン プレドニゾロン プレドニゾロン》
- 今日の救急治療指針 第2版/急性間質性肺炎
- 新臨床内科学 第10版/(1)喫煙関連間質性肺炎
- 新臨床内科学 第10版/好酸球性肺疾患
- 新臨床内科学 第10版/1 単純性肺好酸球増多症(レフレル症候群)
- 新臨床内科学 第10版/2 急性好酸球性肺炎
- 新臨床内科学 第10版/1 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(チャーグ-ストラウス症候群)
- 新臨床内科学 第10版/2 顕微鏡的多発血管炎
- 新臨床内科学 第10版/(2)急性好酸球性肺炎
- 今日の診断指針 第8版/慢性好酸球性肺炎