疾患を疑うポイント
●乾性咳嗽または労作性呼吸困難を有し,両肺底部における吸気時の捻髪音を聴取する.
●原因不明の症候性/無症候性の両側性肺浸潤・網状影を胸部X線写真または胸部CTで認める.
学びのポイント
●特発性間質性肺炎と診断するには,過敏性肺炎,膠原病,じん肺症などのほかの既知の疾患や医原性疾患(薬剤性肺炎,放射線肺炎など),感染性肺疾患を除外する.
●高分解能CT(HRCT)は病理像とよく対応し,間質性肺炎の診断に必須である.
●血清KL-6,SP-A,SP-Dは間質性肺炎の診断,活動性の指標として有用である.
●呼吸機能検査・血液ガス分析は重症度を評価するうえで重要な検査の1つである.
▼肺胞性肺炎と間質性肺炎の違い(図2-20図)
肺胞性肺炎(主に感染症による肺炎)は一般的に細菌を中心とする病原微生物の感染により肺胞腔内を主座におく炎症が起こる疾患である.臨床症状や血液検査,尿中抗原検査,微生物学検査,画像所見などから肺炎を診断する.マイコプラズマ肺炎やクラミジア肺炎などの非定型肺炎では,画像上非区域性のすりガラス陰影や両側肺野の斑状影が多発することがあり,画像のみでは間質性肺炎との鑑別が困難である場合も少なくない.
一方で間質性肺炎は肺胞隔壁や広義の間質(小葉間間質,気管支血管束,胸膜固有層)などの「間質」を炎症や線維化病変の基本的な場とする疾患の総称であり,その原因は不明なものから薬剤やサプリメント,粉塵吸入,膠原病やサルコイドーシス(サ症)などの全身性疾患に伴うものなどさまざまである.
▼間質性肺疾患の原因と分類
胸部X線写真やCT画像で,両側肺野にびまん性の陰影が広がる疾患群を「びまん性肺疾患」と総称している(表2-18図).
びまん性肺疾患(間質性肺疾患)には,①原因が不明である間質性肺炎〔特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneum