疾患を疑うポイント
●成人の喫煙者で,HRCTで,特徴的な肺囊胞を認める場合,肺のLCHを疑う.気胸を時に伴う.画像に比較して症状が乏しい.
●小児LCHでは,骨病変などの肺外病変が主体で肺病変はまれ.
学びのポイント
●LCH細胞の増殖と種々の炎症細胞浸潤と組織破壊を生じる.
●成人の肺LCHではまず禁煙.
●厚生労働省の小児慢性特定疾病であるが,指定難病ではない(2019年時点).
▼定義
Langerhans(ランゲルハンス)細胞(LCH細胞)の増殖と臓器浸潤により,多臓器に多彩な臨床像を示す全身性の稀少疾患.1953年,Lichtenstein(リヒテンシュタイン)は3疾患〔好酸球性肉芽腫症,Hand-Schüller-Christian(ハンド-シュラー-クリスチャン)病,Letterer-Siwe(レテラー-ジーヴェ)病〕をヒスチオサイトーシスXとよんだが,現在はLCHに統一された〔第8章の→も参照〕.
▼病態
全年齢に発症し,LCH細胞増殖と,病変部位への種々の炎症細胞浸潤と組織破壊を生じる.年齢により病変臓器分布が異なる.成人では肺病変が主体で喫煙と関連が強く喫煙関連肺疾患に分類されることがある.小児は肺外病変が多く腫瘍性増殖と考えられる.小児と成人で病態が異なる可能性があるが重複例もある.半数以上にBRAF遺伝子の腫瘍性変異が認められると報告されている.
▼疫学
罹患率,有病率は不明.全年齢に発症するが,発症ピークは乳幼児.成人は肺病変が多く31~40歳代をピークに分布,喫煙者が95%,男性に多い.
▼分類
単一臓器型(single system:SS型),多臓器型(multi system:MS型)に分類され,SS型はさらに単一臓器限局型と単一臓器多発型に分類.SS型は成人では肺病変が多く小児では骨病変が多い.MS型は,骨,皮膚,造血器,リンパ節,肝,脾,軟部組織,肺,胸
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