疾患を疑うポイント
●非喫煙者,妊娠可能年齢の女性で,無数の肺囊胞,労作時呼吸困難,気胸,乳び胸水,乳び腹水,リンパ浮腫,リンパ脈管筋腫,血管筋脂肪腫を認める場合,LAMを疑う.
学びのポイント
●LAMの本態はLAM細胞の腫瘍性増殖と組織破壊であり,肺では慢性に進行し呼吸不全に至る.肺移植の適応疾患.
●結節性硬化症に伴う場合と孤発性がある.
●治療はmTOR阻害薬が用いられる.
●厚生労働省の指定難病.
▼定義
肺の囊胞壁,胸膜,細気管支,血管周囲,体軸リンパ節などで平滑筋様細胞(LAM細胞)が増殖し,組織を障害する.妊娠可能年齢の女性に好発.
▼病態
LAM細胞の腫瘍性増殖と組織破壊が本体で肺では慢性に進行し,無数の囊胞を形成し呼吸不全に至る.気胸が高頻度に認められ,リンパ管の破壊により乳び胸水を生じることがある.胸郭外では腎臓や肝臓の血管筋脂肪腫(angiomyolipoma:AML),リンパ脈管筋腫,リンパ管拡大,リンパ節腫大,乳び腹水,リンパ浮腫などを認める.
▼疫学
LAMの有病率は1.2~2.5人/100万人.
▼分類
LAMは孤発性に発症する孤発性LAMと,常染色体優性遺伝である結節性硬化症(tuberous sclerosis:TSC)に伴うLAMに分類される.
▼診断
図2-57図に厚生労働省研究班による診断と分類を示す.
妊娠可能年齢の女性で,気胸,労作時呼吸困難を認める場合,LAMを疑う.初期は無症状が少なくない.労作時呼吸困難,続発性気胸による胸痛,咳嗽,血痰,喘鳴,乳び胸水,乳び腹水,下肢のリンパ浮腫,リンパ脈管筋腫,腎血管筋脂肪腫に伴う症状(腹部不快感,腹痛,血尿など)も認めることがある.
➊HRCT
境界明瞭な薄壁を有する囊胞(数mm~1cm大が多い)が,両側性,上~下肺野に,びまん性あるいは散在性に,比較的均等に,正常肺野内に認められる(図2-58図).
➋LA