疾患を疑うポイント
●小細胞癌,大細胞神経内分泌癌:喫煙と関連が深い,男性に多い.予後不良である.
●定型カルチノイド,異型カルチノイド:喫煙と関連が低い,女性に多い.
●画像診断(胸部X線写真,胸部CT)での肺門部・中枢性の病変.
学びのポイント
●NETは肺,膵,消化管など全身臓器に発生する腫瘍であり,気管支,肺はNETの好発部位である(NET全体の約30%).
●肺NETは小細胞癌,大細胞神経内分泌癌,定型カルチノイド,異型カルチノイドに分類され,治療法はおのおので異なる.
●小細胞癌,大細胞神経内分泌癌は高悪性度NET,カルチノイドは低~中悪性度NETに分類され,他臓器NETと比較して高悪性度NETの頻度が高い.
●高悪性度NETの予後は不良である.
●小細胞癌には多彩な傍腫瘍性症候群(Lambert-Eaton症候群,ADH不適合分泌症候群など)を認めることがある.
▼定義
神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)とは,病理組織学的に神経内分泌形態と神経内分泌分化を示す悪性腫瘍である.
▼病態
高悪性度NET(小細胞癌,大細胞神経内分泌癌)は,ほかの原発性肺癌と同様に早期症例(Ⅰ期やⅡ期)の多くは無症状である.症状が出て来院する場合はほとんどが進行癌である.症状は呼吸器症状(咳嗽,喀痰,血痰,呼吸困難)や全身倦怠感,食欲不振,体重減少,疼痛,発熱など多彩である.他臓器への転移部位として肝臓,副腎,骨,脳に認めることが多く,骨に転移した場合は骨融解に伴う疼痛,脳に転移した場合はけいれんや転移部位に対応した四肢麻痺などの巣症状,周囲の脳浮腫による頭蓋内圧亢進症状を少なからず認める.転移部位による症状が強い場合は症状緩和のために放射線治療などの局所治療や鎮痛薬の投与などの治療を優先させる場合がある.小細胞癌は肺門部・中枢性に発生することが多く,上大静脈を圧排すること
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