▼定義
期外収縮は,正常のリズム(洞調律)の時期を外して,多くの場合正常の興奮周期より早期のタイミングで出現する不整脈であり,このうち,脚以下の刺激伝導系,Purkinje(プルキンエ)線維,作業心室筋から出現するものを心室期外収縮(premature ventricular contraction:PVC)という(図3-29図).PVCは,心房期外収縮や心房細動と並び,日常診療で最もよく遭遇する不整脈の1つである.
▼病態
PVCの発生機序としては,リエントリー(reentry),異常自動能(abnormal automaticity),撃発活動(triggered activity)のいずれの場合もある.PVCは,器質的心疾患のない健常人にも,器質的心疾患のある人にも出現する.器質的心疾患としては,虚血性心疾患(狭心症,心筋梗塞),高血圧性心疾患,心筋症(拡張型心筋症,肥大型心筋症),心臓弁膜症などがあり,その他,心不全,肺疾患,腎不全などもPVCの増悪因子となる.また,飲酒,喫煙,精神的ストレス,過労,寝不足などはPVCの誘因となる.
PVCの多くは,心室収縮すなわちQRS波のあとに休止期間があり,これを代償性休止期という.一方,正常QRS波と正常QRS波の間にPVCが存在する場合があり,これを間入性PVCという(図3-29図).代償性休止期後の正常心拍(QRS)時には心拍出量が増大するため,「結滞(脈が飛ぶ)」のほかに,「拍動感を感じる」「のどが押される」などの自覚症状が出現する.また,胸痛や胸部圧迫感のような症状を訴えることもある.一方で,全く無症状のことも少なくない.
▼疫学
12誘導心電図による疫学調査では,PVCの頻度は1~4%とされている.PVCは加齢とともに増加し,60歳以上では健常人でも70~80%にPVCが認められるとの報告もある.24時間Holter