診療支援
治療

3 内分泌性高血圧
endocrine hypertension
大石 充
(鹿児島大学大学院教授・心臓血管・高血圧内科学)

疾患を疑うポイント

●治療抵抗性高血圧に加えて,褐色細胞腫の頻脈・発作性高血圧,Cushing症候群の中心性肥満・満月様顔貌などの特徴的な臨床像が診断の助けになるが.原発性アルドステロン症の低カリウム血症はそれほど頻度が高くない.

学びのポイント

●高血圧診断時に除外することが望ましいが,難治性高血圧や血圧上昇時などに積極的な内分泌性高血圧の検索を進める.

●疑わしい場合には積極的に専門医に紹介する.

▼定義

 内分泌疾患〔原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA),Cushing(クッシング)症候群,褐色細胞腫,甲状腺機能亢進症,先端巨大症など〕による高血圧と定義される.

▼病態・分類

‍ PAは副腎皮質による自律的アルドステロン分泌が主病態であり,過形成(両側)および腺腫(多くは片側性)に分けられる.

‍ Cushing症候群はコルチゾール産生増加により血圧が上昇し,コルチゾール産生を促す下垂体性ACTH産生腫瘍(Cushing病)と糖質コルチコイド産生副腎腺腫が存在するが,まれではあるが異所性ACTH産生腫瘍も存在するので注意が必要である.

‍ カテコールアミン産生腫瘍は副腎髄質由来の褐色細胞腫と傍神経節由来のパラガングリオーマに分けられる.アドレナリンを産生する酵素が副腎に存在することから副腎外ではノルアドレナリン優位となる.

▼疫学

 PAは高血圧の約5%,各種合併症のある高血圧の約20%とかなり高頻度であると報告されている.褐色細胞腫は副腎外性,両側性,多発性,悪性がそれぞれ約10%であり10%病としても有名である.

▼診断

 各内分泌性高血圧を疑う臨床的な症状を表3-45に示す.

原発性アルドステロン症

 疑わしい症例には降圧薬をCa拮抗薬とα遮断薬に変更した後,スクリーニング検査を行う.陽性の場合〔アルドステロン/レニン活性比(ARR)>200〕はアルド

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