▼病態
ASOなどの慢性動脈閉塞では,主幹動脈の閉塞に伴い側副血行路が発達する.その臨床症状や病態は,患者の活動性と側副血行路の代償機能により決まる.
ASOは,原則として足関節上腕血圧比(ankle brachial pressure index:ABI)が0.90未満または1.40以上をもって診断される.
▼疫学
日本人の中高年一般住民におけるASOの有病率は1~3%と推測されている.また,リスク因子をもつ集団では有病率が増加し,65歳以上の高齢者で3~6%,糖尿病患者で5~10%(高血圧患者ではこれよりやや少ない),冠動脈疾患あるいは脳血管疾患患者で10~20%,慢性腎不全血液透析患者で10~20%と推定される.
▼診断
➊問診と身体所見
Fontaine(フォンテイン)分類に沿った問診が重要で,最近ではRutherford(ラザフォード)分類もよく用いられる(表3-51図).間欠性跛行では脊柱管狭窄症との鑑別が大事で,跛行の症状,運動負荷や体位による症状の変化についての聴取が重要となる.Fontaine分類Ⅲ度,Ⅳ度を重症下肢虚血(critical limb ischemia:CLI)という.
身体所見では末梢血管(大腿動脈・膝窩動脈・足背動脈・後脛骨動脈)の拍動の触診が不可欠である.足背動脈および後脛骨動脈の拍動を両方とも触れない場合,ASOの存在が強く示唆される.聴診では血管雑音(bruit)の有無をチェックする.
➋検査・診断法
1)ABI,TBI
足関節部収縮期圧を上腕動脈収縮期圧(左右のうち高いほう)で除した値をABIという.跛行症状の訴えがない患者であっても,糖尿病,喫煙など心血管系のリスクファクターを有する50歳以上の患者ではスクリーニングとしてABIを測定することが推奨されている.ABI<0.9でASOが疑われる.
糖尿病や血液透析患者などで動脈壁の石灰化
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