◎DES開発までの経緯
●1990年代初頭に従来型金属ステント(bare metal stent:BMS)が初めて臨床応用されたが,術後1か月以内に生じる早期ステント血栓症が問題となった.これに対してアスピリン薬薬とチエノピリジン系薬剤による抗血小板薬2剤併用療法(dual antiplatelet therapy:DAPT)はステント血栓症を大幅に減少させた.こうしてBMSと補助療法としてのDAPTが確立すると,PCIとステント治療は加速度的に世界に広まった.
●BMSの弱点は,過度の新生内膜増殖によるステント再狭窄であり,再血行再建率は15~30%に及んだ.そのアキレス腱を克服するために開発されたのが,ステントプラットフォーム,薬剤,薬剤溶出母体であるポリマーの3つの要素からなるDES(drug-eluting stent)であり,2000年代初頭から臨床応用された.
◎第1世代DESの問題点
●DESはBMSのアキレス腱であった再狭窄を著明に抑制したが,留置1か月以後に生じる遅発性ステント血栓症(late stent thrombosis:LST),1年以後に生じる超遅発性ステント血栓症(very late stent thrombosis:VLST)の存在が明らかとなった.
●LST・VLSTの原因として病理学的検討において再内皮遅延,持続性炎症,フィブリン沈着の遷延などが観察され,血管治癒の遷延(delayed healing)をきたしていることが判明した.
◎第2世代DESがもたらしたパラダイムシフト
●delayed healing現象を解決するために,第2世代DESではよりストラット厚の薄いDESへの進化が進み,さらに薬剤の搭載量も過剰な新生内膜増殖抑制を生じないように減量がはかられ,より生体適合性が高いポリマーが選択されるようになった.その結果,LST,VLSTは大きく
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