疾患を疑うポイント
●胃癌・消化性潰瘍の既往・家族歴.
学びのポイント
●Helicobacter pylori(ピロリ菌)は主に幼少期に感染し,慢性活動性胃炎を惹起する.
●ピロリ菌の除菌は消化性潰瘍の発生・再発の抑制,胃MALTリンパ腫の治療,さらには胃癌抑制に有効である.
▼病態
ピロリ菌は,通常,胃前庭部に最初に感染する.酸分泌が多い場合は胃炎が胃体部に進展しにくいが,十二指腸に胃上皮化生が生じるとピロリ菌が感染し潰瘍発生母地となる.日本人では多くの感染者で活動性胃炎が胃体部へ進展し,汎胃型~胃体部優位型胃炎となる.長期間ピロリ菌が感染した胃粘膜では腺管上皮が減少し,分化型腺癌のリスクが高い萎縮性胃炎となる.
ピロリ菌にはCagAという癌蛋白を有する株がある.日本ではほとんどのピロリ菌がきわめて病原性が強い東アジア型のCagAを有しており,胃癌罹患率が高いことに関連している.
▼疫学
わが国の
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