疾患を疑うポイント
●Helicobacter pylori(H. pylori)陽性者で慢性萎縮性胃炎を有すると胃癌のハイリスクである.
●早期診断のために,症状の有無にかかわらず,胃内視鏡検査やX線検査を行うことが重要.
学びのポイント
●早期胃癌に特徴的な画像所見(内視鏡・X線)について習熟する.
▼定義・概念
胃癌は,胃粘膜上皮から発生する悪性上皮性腫瘍である.悪性腫瘍は,無処置のまま放置すれば,局所で浸潤性・破壊性に無限の増殖を続け,遠隔部位に転移する能力を有して,究極的に人を死に至らしめるものである.通常型の胃癌は,H. pyloriの持続感染による慢性胃炎を発生母地とする腺癌である.胃癌は,2018年時点で世界で第5番目に多い癌であり,世界の癌死の原因としては第3位に位置付けられる.わが国では,2017年における胃癌の死亡率は,男性では肺癌についで第2番目に高く,女性では大腸癌,肺癌,