診療支援
治療

(1)虚血性大腸炎
ischemic colitis
蔵原 晃一
(松山赤十字病院・胃腸センター・所長)
松塲 瞳
(松山赤十字病院・胃腸センター)

▼定義

 広義には,虚血性大腸炎とは主幹動脈に血管閉塞を伴わない可逆性の大腸虚血性病変の総称とされ,明らかな原因の有無から特発性と続発性に分類されるが,一般には特発性を虚血性大腸炎と呼称する.可逆性で特発性であることが疾患概念である.

▼病態

 血管側因子(動脈硬化性疾患や循環不全など)と腸管側因子(腸管内圧の上昇や腸管蠕動の亢進など)が複雑に関連して腸管壁の微小循環障害が生じ腸炎が発症する.腸管側因子が主因と考えられている.

▼疫学

 50歳以上の中高齢者に多いが若年者にもみられる.血便の原因疾患として大腸憩室出血についで多い.慢性便秘症例が多く,既往に腹部手術歴を有する例が多い.

▼分類

 臨床経過から,狭窄を形成することなく治癒する一過性型と管腔狭小化を伴う狭窄型に分類される.虚血性大腸炎の約90%が一過性型,約10%が狭窄型である.狭窄型は重症例に該当し,より高齢発症で血管側因子の関与が大きい.

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