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治療

4 大腸ポリープ,大腸腺腫
polyp and adenoma of large intestine
田中 信治
(広島大学大学院教授・内視鏡医学)

▼定義

 大腸ポリープとは大腸内の管腔内に突出した隆起性病変の総称で,種々の肉眼形態や組織像を呈する病変を含む.上皮性腫瘍ではsessile serrated adenoma/polyp(SSA/P),腺腫,癌,カルチノイド(WHO分類:神経内分泌腫瘍G1,G2,G3),非上皮性腫瘍では脂肪腫,リンパ管腫などが多い.過形成性ポリープ,過誤腫〔若年性ポリープ,Peutz-Jeghers(ポイツ-ジェガース)型ポリープなど〕,炎症性ポリープは非腫瘍性(上皮性)ポリープに分類される.内視鏡検査で発見されるポリープの約95%は腺腫で,その一部が癌化する.一方,ポリープが多発(通常100個以上)する大腸ポリポーシスはまれな疾患であるが,大腸以外の消化管や他臓器にも腫瘍状病変が発生する特殊な病態で全身の評価が重要となる.大腸ポリープの多くは無症状であるが,大きくなると,血便や腸重積による腹痛を伴うこともある.

▼分類

 大腸の単発性ポリープは,組織学的に種々の病変を含んでいる.以下のごとく分類される.

腫瘍性

1)腺腫

 腺腫は大腸ポリープの約80%を占める.組織学的に,管状腺腫(tubular adenoma),管状絨毛腺腫(tubulovillous adenoma),絨毛腺腫(villous adenoma),鋸歯状腺腫(serrated adenoma)の4つに分類される.癌との関連については癌が腺腫を発生母地として発生するというadenoma-carcinoma sequenceの概念がある.腺腫の癌化は,大きさ・組織型・異型度・性などが関連する.大きい病変ほど癌化しやすいし,管状腺腫,鋸歯状腺腫<管状絨毛腺腫<絨毛腺腫の順に癌化率が高くなる.また,女性のほうが男性よりも癌化しやすい.一方,腺腫の癌化ではなく,正常の大腸粘膜から直接癌が発生する(de novo発生)機序も存在する.

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