▼定義
胆管板の形成異常,肝内門脈枝の分枝異常,門脈域の進行性の線維化などに基づく門脈・胆管系の発生異常である.病理学的に小葉間胆管の線維性破壊,肝内胆管の拡張,つぶれた門脈などを認めるまれな先天性疾患である.
▼病態
特に門脈域の線維増生によって前類洞性門脈圧亢進症をきたし,肝脾腫,脾機能亢進,汎血球減少,食道胃静脈瘤などが出現する.胆管炎を合併することが多い.多発性囊胞腎と関連する疾患と考えられ,先天性肝線維症の50%以上に腎疾患を合併する.肝内胆管の肉眼的な囊胞状拡張を伴う場合がある.本症の発症には遺伝的素因が深く関連しており,同胞内発生も多くみられる.
▼疫学
先天性肝線維症の発症頻度はきわめて低い.本症を最も合併しやすい常染色体劣性多発性囊胞腎の頻度が,出生10,000~40,000人に1人であることを考えても明らかである.発症年齢は平均13歳であり,ほとんどが小児期に発症する.