疾患を疑うポイント
●健康診断などで腹部超音波検査で脂肪肝を指摘され飲酒習慣のない場合.
●血液検査で肝機能異常を認める場合.
●肥満,糖尿病などメタボリックシンドロームの患者.
学びのポイント
●飲酒習慣がなくても脂肪肝は慢性肝炎になり肝硬変や肝臓癌になること.
●NAFLDでは心血管疾患の発症に注意が必要.
●肝臓の線維化の進行具合に応じてNAFLDの予後が悪くなる.
▼定義
NAFLDは組織学的診断あるいは画像診断で脂肪肝を認めアルコール性肝障害などのほかの肝疾患を除外した脂肪肝に起因する疾患群である(図5-17図,18図).メタボリックシンドロームの肝病変ととらえられている.
非アルコール性の定義における「飲酒習慣がない」とは男性で1日アルコール換算で30g以下,女性で20g以下の場合を指し,全くの非飲酒とは異なることに注意をしなければならない.本定義では1日ビール中瓶1本程度の飲酒であれば非アルコール性になる.
病理学的所見の特徴はNAFLDでは主に,①肝細胞の脂肪変性(肝細胞の5%以上に脂肪滴を認める場合脂肪変性とよぶ),②炎症細胞の浸潤,③肝細胞の風船様膨化(バルーニング),④線維化の4つであり,NAFLでは①と②のみを認めNASHではそれに加えて③のバルーニングを認めるとされている.進行すると線維化を伴う.線維化は線維化軽度のstage1から線維化高度のstage4(=肝硬変)までに病理学的に分類されている.
▼病態
脂肪肝の形成は単純には肝臓から肝臓外に出ていくカロリーに比べ摂取して肝臓に流入するカロリーが過剰の場合生じる.ここに肥満や糖尿病があるとインスリン抵抗性があり肝臓に蓄積された脂肪がVLDLとして肝臓外へ分泌しにくくなり過剰の脂肪が肝細胞内に蓄積されたままとなる.また脂肪組織から放出された遊離脂肪酸は肝臓で中性脂肪となり蓄積される.NAFLDにおける肝臓の蓄積脂肪
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