診療支援
治療

(1)非アルコール性脂肪性肝疾患,非アルコール性脂肪肝炎
non alcoholic fatty liver disease(NAFLD),non alcoholic steatohepatitis(NASH)
中島 淳
(横浜市立大学大学院主任教授・肝胆膵消化器病学教室)

疾患を疑うポイント

●健康診断などで腹部超音波検査で脂肪肝を指摘され飲酒習慣のない場合.

●血液検査で肝機能異常を認める場合.

●肥満,糖尿病などメタボリックシンドロームの患者.

学びのポイント

●飲酒習慣がなくても脂肪肝は慢性肝炎になり肝硬変や肝臓癌になること.

●NAFLDでは心血管疾患の発症に注意が必要.

●肝臓の線維化の進行具合に応じてNAFLDの予後が悪くなる.

▼定義

 NAFLDは組織学的診断あるいは画像診断で脂肪肝を認めアルコール性肝障害などのほかの肝疾患を除外した脂肪肝に起因する疾患群である(図5-17,18).メタボリックシンドロームの肝病変ととらえられている.

 非アルコール性の定義における「飲酒習慣がない」とは男性で1日アルコール換算で30g以下,女性で20g以下の場合を指し,全くの非飲酒とは異なることに注意をしなければならない.本定義では1日ビール中瓶1本程度の飲酒であれば非アル

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