診療支援
治療

(2)肝線維性多囊胞性疾患
hepatic fibropolycystic disease
阪森 亮太郎
(大阪大学大学院学内講師・消化器内科学)
竹原 徹郎
(大阪大学大学院教授・消化器内科学)

 肝線維性多囊胞性疾患は,胆管性微小過誤腫〔von Meyenburg(フォン・マイエンブルグ)complexes〕や総胆管囊腫を含む肝胆道線維性多囊胞性疾患の1つであり,肝線維化を伴うことが多い.形成異常が生じた胆管の部位により,Caroli(カロリ)病,先天性肝線維症,胆管性微小過誤腫に分類される(大河内信弘,福永 潔,野口雅之,他:多発性肝囊胞診療ガイドライン.厚生労働省,2013).

先天性肝内胆管拡張症(congenital intrahepatic ductal dilatation,Caroli病)

 比較的太い肝内胆管が形成障害により分節状,囊状に拡張する.100万人に1人程度で性差はない.拡張した胆管には線維化や炎症細胞浸潤がみられる.造影CTや造影MRIでは拡張した肝内胆管の中に点状の強い増強効果(central dot sign)が,またMR胆管膵管撮影(MR cholangiopancreatography:MRCP)では肝内胆管の非閉塞性囊胞状拡張がみられる.逆行性胆管炎や肝膿瘍,肝内結石を引き起こしやすい.食道静脈瘤の併存や胆管細胞癌の発症が報告されている.病状が進行した場合,肝移植の適応となる場合がある.

先天性肝線維症(congenital hepatic fibrosis)

 胆管上皮の分化過程の異常によって胆管板形成異常が生じ,それに伴い細胆管周囲に生じる高度の線維化によるもので,門脈域の線維化,胆管の増生・拡張が特徴的である.常染色体劣性遺伝であるが,散発例もみられる.病変の進行により門脈圧が亢進し,消化管出血や脾腫が主症状であるが,肝硬変とは異なり肝細胞機能が維持されるため肝不全症状はみられないことが多い.Caroli病や総胆管囊腫と重複して発症する場合が多い.

胆管性微小過誤腫(microhamartoma,von Meyenburg

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