▼定義
肝細胞でのビリルビンに対するグルクロン酸抱合の障害により引き起こされる遺伝性非抱合型高ビリルビン血症のうち,軽度の高ビリルビン血症をきたす疾患がGilbert(ジルベール)症候群であり,中等症,重症のものはCrigler-Najjar(クリグラー-ナジャー:CN)症候群Ⅱ型,Ⅰ型である(表5-18図).
▼病態・疫学
Gilbert症候群は人口の約5%にみられる頻度の高い先天性代謝異常である.本症候群では,2番染色体に存在するUGT1A1の遺伝子変異により酵素活性が25~30%程度に低下し,非抱合型ビリルビンが血中に停滞する.
CN症候群Ⅰ型はきわめてまれで,Ⅱ型は100万人に1人程度である.常染色体劣性遺伝で,本症候群もUGT1A1の遺伝子変異により生じ,Ⅰ型では酵素活性が欠失し,Ⅱ型では酵素活性が10%以下に低下している.
▼診断
CN症候群Ⅰ型は,出生直後から高度の黄疸がみられ,血清総ビリルビン値は30~50mg/dLに達して核黄疸を引き起こす.Ⅱ型でも6~20mg/dLの高ビリルビン血症が持続する.Ⅱ型ではUGT1A1活性が残存しているため,フェノバルビタール投与により酵素誘導を行うことが可能であり,血清ビリルビン値は低下する.酵素活性のないⅠ型ではフェノバルビタール投与で変化はみられない.
Gilbert症候群では,軽度の黄疸(血清ビリルビン値1~5mg/dL)以外は無症状であることが多い.400kcal/日の低カロリー食試験やニコチン酸試験による血清ビリルビン値の上昇が診断に有用である.
いずれの疾患もUGT1A1の遺伝子解析が診断に苦慮する場合には有用で,確定診断できる.
▼治療・予後
CN症候群Ⅰ型は核黄疸の予防のため光線療法や血漿交換が行われ,思春期までには肝移植を行う必要がある.Ⅱ型では,新生児期の高ビリルビン血症に対して光線療法や血漿交換,フェノバル
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