診療支援
治療

(1)先天性胆道拡張症
congenital biliary dilatation
原 精一
(東邦大学医療センター大森病院・消化器内科)
五十嵐 良典
(東邦大学医療センター大森病院・消化器内科教授)

疾患を疑うポイント

●原因不明の繰り返す腹痛.

●閉塞機転のない総胆管拡張.

●検診もしくはスクリーニングの腹部超音波で胆囊粘膜の過形成性変化.

学びのポイント

●先天性胆道拡張症は,膵・胆管合流異常と密接な関係にある.

●膵・胆管合流異常を合併することが多く,膵液胆道逆流現象により胆道癌の発生頻度が高率である.予防的に肝外胆管切除および胆囊摘出術が推奨される.

●胆囊癌もしくは胆管癌の症例では,膵・胆管合流異常の有無の検索をする.

▼定義

 総胆管を含む肝外胆管が限局性に拡張する先天性の形成異常で,膵・胆管合流異常を合併するものと定義されている(ただし,肝内胆管の拡張を伴う例もある).従来欧米では,総胆管囊腫(congenital choledochal cyst)とよばれている.

 本症は,膵・胆管合流異常と密な関係にあり胆道癌の発生リスクとなりうる病態であることが知られている.

▼病因

 先天性胆道拡張症お

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