疾患を疑うポイント
●検診のエコーなどでみつかる胆囊壁肥厚.
学びのポイント
●胆囊壁の肥厚は胆囊癌を疑う所見であり,鑑別が重要となる.
●胆囊壁に憩室様に嵌入したRASの増生により惹起され,それを反映する画像所見が診断の決め手となる.
●癌化はしない病変であるが,底部型や分節型で,底部がdead spaceとなって慢性炎症となると癌が発生する.
▼定義・病態
憩室様嵌入であるRokitansky-Aschoff(ロキタンスキー-アショフ)洞(Rokitansky-Aschoff sinus:RAS)が拡張・増殖し,それに伴い胆囊壁が肥厚してくる病態.粘膜と筋層の過形成性変化である.特に症状は呈さないが,分節型では底部側の慢性炎症による発癌の可能性がある.
▼疫学
健診での発見は約0.5%と報告されている.
▼分類
部位と広がりによる分類があり,びまん型,限局型,分節型がある(図5-35図).
▼診断
壁