疾患を疑うポイント
●中高年の肥満者に多く加齢とともに増加.
●食後30分から2時間に腹痛,発熱,黄疸がみられる.
●重症化すると意識障害やショックを惹起する.
学びのポイント
●局在により胆囊結石症,総胆管結石症,肝内結石症に分類される.
●胆石の構成成分によりコレステロール石と色素石に大別され,成因や存在部位が異なる.
●胆囊結石治療の第一選択は胆囊摘出術であるが,無症状胆囊結石は経過観察が推奨される.
●総胆管結石は無症状でも積極的な胆石除去治療が推奨される.
●肝内結石は肝内胆管癌の合併リスクであり,近年二次性が増加している.
▼定義
胆石が胆囊,総胆管,肝内胆管内に存在することにより,上腹部痛や右季肋部痛,発熱,黄疸などの消化器症状を呈するものを胆石症という.
▼分類
胆石症は胆石の局在により胆囊結石症,総胆管結石症,肝内結石症に分類される.コレステロールを主成分とするコレステロール石は純コレステロール石,混成石,混合石に分類される.一方,ビリルビンを主成分とする色素石は黒色石とビリルビンカルシウム石に大別される.コレステロール石と黒色石は胆囊内に多く,総胆管結石や肝内結石の多くはビリルビンカルシウム石であるが,肝内結石はコレステロール含有量が比較的高いとされる(表5-25図).
▼病態
胆石は構成成分によりコレステロール石と色素石に大別される.リスクファクターとして先天的要因(人種,性差,代謝異常,胆道狭窄など)と後天的要因(年齢,高脂肪食,妊娠,肥満,脂質異常症,胆道感染,胆汁うっ滞,外科手術,薬剤など)があり,胆囊機能低下や腸管機能低下が関連して胆囊内に胆石が形成される.総胆管結石と肝内結石は胆道感染と胆汁うっ滞に起因する.
コレステロール石は肥満の中年経産婦に多く,妊娠,高脂肪食,糖尿病,脂質異常症に伴い胆汁へのコレステロール排泄が過剰となり生成される「コレステロール過飽和胆汁」
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