診療支援
治療

1 薬剤性膵炎
drug-induced pancreatitis
正宗 淳
(東北大学大学院教授・消化器病態学)

疾患を疑うポイント

●原因不明の急性膵炎の成因として薬剤性を念頭におく.

学びのポイント

●種々の薬剤が急性膵炎の原因となりうる.

●原因薬剤の中止が治療の大原則であり,適切に診断することが重要である.

▼定義

 治療目的で投与された薬剤により膵炎,特に急性膵炎を発症したものである.広義には薬剤性膵炎として,事故,自殺目的で服用された薬剤,薬物およびアルコール過飲による膵炎も含まれるが,アルコール過飲による膵炎は通常アルコール性膵炎として別に扱う.臨床像は通常の急性膵炎に準ずる.

▼病態

 薬剤性膵炎の発症機序は不明な点が多いが,①薬物に対するアレルギー反応,②直接あるいは代謝産物による細胞障害,③膵管閉塞などが想定されている.①は5-アミノサリチル酸(メサラジン),アザチオプリン,メルカプトプリン(6-MP),メトロニダゾールなど多くの薬剤の発症機序として想定されている.膵炎発症は投与

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