診療支援
治療

1 糖尿病網膜症
diabetic retinopathy
柴 輝男
(総合東京病院・副院長(糖尿病センター))

疾患を疑うポイント

●糖尿病・糖代謝異常を呈する患者では誰にでも併発しうる合併症.

●初期には自覚症状がなく,症状を呈するときには不可逆性の視力障害に進行する率が高いため,糖尿病と診断されたら定期的な眼底検査を必要とする.自覚症としては視力障害,飛蚊症,霧視などがある.

学びのポイント

●慢性高血糖症による網膜細小血管の6つの病態からなる.①毛細血管瘤の形成,②血管透過性の亢進,③血管閉塞による虚血,④網膜新生血管と増殖線維組織の形成,⑤硝子体内の出血と増殖組織の収縮による網膜剝離.⑥黄斑部の血管透過性の亢進による黄斑浮腫,これらは視力障害を引き起こす.網膜で産生されるVEGFが①~⑥に深くかかわっている.

●無症状の非増殖網膜症期と視力障害を呈する増殖網膜症期,いずれの病期にも出現しうる黄斑症に大別される.

●血糖・血圧コントロールなどの内科治療と,光凝固や抗VEGF抗体の眼球内投与による眼科治療が

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