▼定義(表6-25図)
ガラクトースはグルコースの光学異性体で,グルコースと結合した二糖類のラクトース(乳糖)はミルクの主要な炭水化物である(図6-18図).ガラクトース代謝異常症には3つの疾患がある.日本では1977年から新生児マス・スクリーニングが行われ,ガラクトース血症は対象疾患に含まれている.鑑別診断には,酵素欠損ではない肝障害や門脈の異常(シャントなど)が挙げられる.ガラクトース血症では,ガラクチトールがレンズに沈着するために若年から両側の白内障がみられる.
▼病型
➊ガラクトキナーゼ欠損症
ガラクトキナーゼ(galactokinase)欠損症は血中ガラクトース濃度が上昇し,尿にガラクトースとガラクチトールが排泄される.白内障が起こるが,予後良好である.治療として,食事からガラクトースを除去する.乳児には乳糖除去ミルクを用いる.
➋ガラクトース1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ欠損症
ガラクトース1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(galactose 1-phosphate uridyltransferase)欠損症は,新生児期から哺乳後にガラクトース,ガラクトース1-リン酸の蓄積による急性中毒症状(下痢・嘔吐,黄疸など)が現れる.敗血症・髄膜炎などの感染症を併発することが多い.すみやかに乳糖除去ミルクに切り替える治療が必要である.ガラクトースを除いた食事を始めても,長期の合併症として発育不全・言語障害・精神遅滞・女性の卵巣機能不全が起こることがある.
➌ウリジル二リン酸ガラクトース4-エピメラーゼ欠損症
ウリジル二リン酸ガラクトース4-エピメラーゼ(uridine diphosphate galactose 4-epimerase)欠損症には2つのタイプがある.血球型は酵素欠損が赤血球と白血球に限られるため無症状の症例で,全身型はgalactose 1-phosph
関連リンク
- 新臨床内科学 第10版/3 糖新生系異常症
- 新臨床内科学 第10版/4 フルクトース代謝異常症
- 新臨床内科学 第10版/(3)カイロミクロン停滞症(アンダーソン病)
- 新臨床内科学 第10版/2 ホモシスチン尿症
- 新臨床内科学 第10版/3 メープルシロップ尿症
- 新臨床内科学 第10版/【4】高ホモシステイン血症
- 新臨床内科学 第10版/(1)高フェニルアラニン血症
- 今日の小児治療指針 第17版/果糖(フルクトース)代謝異常症
- 新臨床内科学 第10版/(2)メープルシロップ尿症
- 今日の小児治療指針 第17版/ビオプテリン代謝異常症
- 今日の小児治療指針 第17版/ガラクトース血症
- 今日の小児治療指針 第17版/新生児マススクリーニング対象疾患一覧