診療支援
治療

(3)家族性アミロイドーシス
familial amyloidosis
中里 雅光
(宮崎大学教授・神経呼吸内分泌代謝学分野)

▼定義・病態・疫学

 家族性アミロイドーシスの原因となるアミロイドの前駆蛋白質は,トランスサイレチン(transthyretin:TTR)とアポA-Ⅰ,ゲルゾリンなどである.TTRに基づく家族性アミロイドポリニューロパチー(familial amyloid polyneuropathy:FAP)が最も患者数が多く,遺伝子変異も100種類以上が知られている.TTRは分子量約14,000で,127個のアミノ酸よりなり,主に肝臓で産生され,血清中では4量体を形成している.血中半減期は約2日で,栄養状態の指標にも用いられる.甲状腺ホルモンやビタミンAの輸送蛋白である.わが国ではTTR30番目のアミノ酸のバリンがメチオニンに変異するタイプが最も多い.以下,TTR型FAPを中心に述べる.常染色体優性遺伝形式を示し,30歳代での発症が多い.

▼症状

 手袋靴下型の感覚障害優位型多発ニューロパチーが初発症状であ

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