疾患を疑うポイント
●生後3~6か月:筋緊張低下と哺乳や発育の不良.
●1歳頃:発達遅滞.
●2~3歳頃:自傷行為,舞踏病アテトーゼなどの錐体外路症状や痙性など錐体路症状.
▼定義
Lesch-Nyhan(レッシュ-ナイハン)症候群はプリン体代謝経路のhypoxanthine-guanine phosphoribosyltransferase(HPRT)の酵素活性低下により神経症状,自傷行為,痛風性関節炎や腎症などの高尿酸血症による症状を呈するX連鎖性劣性(潜性)遺伝形式の疾患である.
▼病態
高尿酸血症は,HPRTの活性低下により基質であるグアニン,ヒポキサンチンの再利用障害とde novo経路のホスホリボシルピロリン酸の利用障害により発症する.自傷行為や神経症状の病態は不明ながら,高尿酸血症との直接的な関連性は明らかでない.病理学的・薬理効果の研究からドパミンなど神経伝達物質との関連が示唆されている.
▼分類
HPRTの残存活性によりLesch-Nyhan症候群(活性1.5~2%以下),自傷行為のみられないHPRT-related neurological dysfunction(HND)(活性2~8%),高尿酸血症のみのHPRT-related hyperuricemia(HRH)(活性8~60%)に分類される.
▼疫学
Lesch-Nyhan症候群は男児出生10万人あたり1人程度とまれな疾患である(関連疾患のうち75%がLesch-Nyhan症候群,12%がHND,8%がHRHという報告もある).女児は,基本的に発症しないがX染色体不活化の不均衡により発症した例も報告されている.
▼診断
高尿酸血症や尿中の尿酸増加は診断の一助となる.神経症状を伴う高尿酸血症では本疾患を疑い,HPRTの酵素活性低下(赤血球)で診断する.現時点での関連遺伝子はHPRT1のみである.保因者の酵素活性は,
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