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治療

1 ゴナドトロピン依存性(中枢性)思春期早発症
central precocious puberty
大塚 文男
(岡山大学大学院教授・総合内科学)

疾患を疑うポイント

●思春期発来には個人差・性差など幅があるが,この範囲を超えて思春期が早期に発来する.

●女児の思春期の徴候は乳房腫大,男児では精巣発育である.

●思春期早発を疑う場合,器質的な基礎疾患の鑑別のため,頭部・腹部の画像検査を実施する.

学びのポイント

●性成熟や成長の加速を認める時期が思春期であり,思春期の発現を決めるのがGnRHの分泌開始である.

●思春期早発症は性早熟症ともよばれ,ゴナドトロピンの増加を伴う中枢性(ゴナドトロピン依存性)と,性ホルモンのみが増加する末梢性(ゴナドトロピン非依存性),そして部分的性早熟の3つに大別される(表7-3)

●中枢性と末梢性では,中枢性の病態が多い.中枢性の思春期早発症には,原因不明の特発性と頭蓋内病変による器質性,そして遺伝性が含まれる.

●本症では,性ホルモンの分泌増加により二次性徴が早期発現し,成長と成熟のバランスが崩れる.身体発育と精神発達のバランスが崩れると社会生活に適合できなくなり,骨成熟が骨成長を上回ると最終身長が低下する.

▼疫学

 思春期早発症は女児に多い疾患であるが,女児が二次性徴の変化に気づかれやすいこともその一因である.女児例の70~90%が原因不明であるが,男児では約50%が器質的異常によるものであり,奇形腫・視床下部過誤腫・その他の鞍上部腫瘍が原因となり,発症年齢はその病因によって異なる.

▼分類

 ゴナドトロピン依存性(中枢性)思春期早発症は,その病因によって,特発性(体質性・機能性)器質性(脳腫瘍・腫瘍以外の頭蓋内病変)および遺伝性の3つに分類される.器質性疾患としては頭蓋内腫瘍として視床下部過誤腫・視神経膠腫・星細胞腫や,hCG産生腫瘍などが含まれる.

▼診断

 男児・女児特有の性早熟の主症候と,骨・身長促進に関する副症候をもとに,ゴナドトロピン・性ステロイドホルモンの両者の増加を確認し,副腎性・薬剤性・

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