▼定義
胎生期のRathke(ラトケ)囊の遺残から生じる非腫瘍性囊胞性病変.
▼病態
囊胞は前葉と後葉の間に存在することが多い(図7-12図f).組織学的に囊胞壁は単層の線毛を有する立方・円柱上皮と基底細胞からなり基底膜を有する.囊胞内容液は多彩.大多数のRathke囊胞は無症候に経過し,治療を要さない.しかし一部の症候例では視機能障害,下垂体機能障害や尿崩症,激しい頭痛などの症状を呈する.
▼疫学
MRIの普及で,偶発腫として発見される頻度が増えている.症候例は全年齢層(特に30~50歳)にみられ,女性に多い.小児例はまれである.
▼診断
画像所見から通常診断は比較的容易であるが,鞍内型の頭蓋咽頭腫,囊胞性下垂体腺腫,下垂体卒中,下垂体膿瘍と鑑別を要する.
▼画像所見
囊胞内容液は,蛋白とコレステロールを含み,信号強度に影響を与える.高蛋白濃度ではT1高信号,T2低信号,髄液様あるいは黄色透明に
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