疾患を疑うポイント
●中高年に発症し,男女比はほぼ同数.
●四肢の末端部肥大として靴や指輪のサイズの変化,特徴的顔貌,発汗過多がみられる.
学びのポイント
●先端巨大症の本態はGHを過剰産生・分泌する機能性下垂体腺腫である.
●成長ホルモン過剰分泌により四肢末端の肥大,特徴的顔貌,巨大舌,発汗過多などを呈し,代謝異常をきたす.血中IGF-Ⅰも高値を示す.
●治療として経蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘出術が選択される.ソマトスタチンアナログなどによる薬物療法も行われる.
▼定義
GHの過剰分泌により,骨・軟骨や軟部組織をはじめ全身臓器の発育,肥大と代謝異常をきたす疾患.合併症として,糖尿病,高血圧,手根管症候群,睡眠時無呼吸症候群,甲状腺腫や大腸ポリープ,悪性腫瘍(特に大腸癌や甲状腺癌)などを伴いやすい.
▼病態
原因のほとんどはGH産生下垂体腺腫であり,そのうち半数でGNAS(Gsα)遺伝子の体細胞変異がみつかる.まれに神経内分泌腫瘍による異所性成長ホルモン放出ホルモン(growth hormone-releasing hormone:GHRH)産生に伴う下垂体GH細胞過形成や異所性GH産生腫瘍が報告されている.また家族性のものとして,多発性内分泌腫瘍症Ⅰ型,Carney(カーニー)複合,家族性先端巨大症や家族性下垂体腺腫,McCune-Albright(マッキューン-オールブライト)症候群に伴う場合がある.
GHの作用はGH受容体を介して発揮される.GH受容体は全身のさまざまな組織に存在し,細胞膜上で二量体を形成しており,GHが結合すると二量体の立体構造が変化し受容体の細胞内ドメインにチロシンキナーゼのJanus kinase 2(JAK2)が結合し,受容体とJAK2の両方がリン酸化される.次に細胞内STATがリン酸化され,核内に移行した後DNAに結合し,GH標的蛋白の転写を促進する.GHによ
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