疾患を疑うポイント
●口渇,多飲,多尿.
●症状の出現は昼夜を問わない.
●血清ナトリウム濃度はやや高値.
●尿浸透圧は低値.
学びのポイント
●抗利尿ホルモンであるバソプレシンの分泌不全によって腎臓における尿の濃縮が損なわれ,結果として低張性の多尿が生じる疾患.
●視床下部の腫瘍や炎症によって生じることが多い.
●治療に用いるデスモプレシン薬はバソプレシンのアナログで,抗利尿作用の持続時間が長い.
▼定義
バソプレシンは腎臓において水の再吸収を促進する抗利尿ホルモンで,視床下部の視索上核および室傍核で合成され,軸索輸送により下垂体後葉に運ばれた後に血中に分泌される.中枢性尿崩症はバソプレシンの合成および分泌の障害により低張性多尿,口渇,多飲を呈する疾患.
▼病態
バソプレシンの分泌は主として血清ナトリウム濃度により調節されている.すなわち,血清ナトリウム濃度が上昇すればバソプレシンの分泌が亢進し,腎臓にお
関連リンク
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- 臨床検査データブック 2025-2026/バソプレシン《アルギニンバゾプレッシン〔AVP〕》《抗利尿ホルモン〔ADH〕》 [保] 224点(包)
- 臨床検査データブック 2025-2026/尿比重 [保] 26点
- 臨床検査データブック 2025-2026/バソプレシン分泌低下症(中枢性尿崩症)
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