疾患を疑うポイント
●甲状腺に多発する囊胞や結節性病変があり,エコーで悪性所見を認めない場合に診断される.
▼定義
甲状腺内に複数の充実性結節や囊胞が多発する非腫瘍性病変で,日常臨床で最も高頻度に認める.欧米では多結節性甲状腺腫(multinodular goiter)とよばれる.単発性の場合は腺腫様結節(adenomatous nodule)という.甲状腺機能は通常基準範囲内であるが,自律性機能性甲状腺結節〔autonomously functioning thyroid nodule:AFTN,Plummer(プランマー)病〕の場合には潜在性あるいは顕性の甲状腺機能亢進症をきたす.
▼病態
多発性の非腫瘍性結節で病理では正常の濾胞上皮細胞が過剰に増殖して過形成を呈した状態をさす.その途中段階で破壊や変性をきたして,出血,囊胞変性,線維化,石灰化,炎症など種々の組織変化をきたす.破壊と増殖の原