疾患を疑うポイント
●無症状のことが多い.
●健康診断での視触診,胸部X線検査での気管偏位,頸動脈エコーなどが発見契機となることも多い.
学びのポイント
●良性腫瘍のほとんどは濾胞腺腫である.
●臨床上は濾胞癌と鑑別できないことがある.
●臨床上は腺腫様甲状腺腫と鑑別できないことも多い.
●たいていは無治療でよいが,増大することがある.
▼定義
甲状腺濾胞上皮に由来し,病理組織学的に明らかな悪性所見(被膜浸潤,血管浸潤,乳頭癌様核所見)を欠く腫瘍.通常は単発で,比較的均一な濾胞構造を呈し,薄い被膜に囲まれている点で,良性結節の1つである腺腫様甲状腺腫と異なる.
▼病態
甲状腺内で腫瘤を形成する.ただし症状を自覚することは少ない.卵形大になると嚥下時に視認できるようになり,家人に指摘されたり自覚することがある.大きな腫瘤では外見上も目立ち,さらには気管を圧排あるいは圧迫し,胸部X線検査で気管の偏位を認めるよう