診療支援
治療

1 骨粗鬆症
osteoporosis
鈴木 敦詞
(藤田医科大学教授・内分泌・代謝内科学)

疾患を疑うポイント

●退行期に加齢とともに急速に増加する.

●脆弱性骨折の発生を特徴とするが,一般生化学検査に異常値を認めない.

学びのポイント

●骨強度の低下によって脆弱性骨折が増加する慢性疾患.

●骨強度は骨量と骨質の2つの要素から決定される.骨量は骨密度ともよばれる.代表的な測定法にDXA法がある.

●骨代謝のバランスを整え,骨量を回復するために,骨吸収抑制薬と骨形成促進薬とが用いられる.

▼定義

 骨粗鬆症は,低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし,骨の脆弱性が増大し,骨折の危険性が増大する疾患と定義される.骨強度は,骨量(骨密度)と骨質とによって定義される.骨量は骨密度検査で測定する.骨質とは,骨微細構造・骨代謝回転・微小骨折などを含む概念的な言葉である.

▼病態

 骨は成人に達すると最大骨量を獲得するが,その後は徐々にカルシウム出納は負に傾く.特に女性は,閉経を機に急激に骨量が減少し,骨強度が低下する.このなかで,最大骨量が少ない者,骨量減少速度が速い者,骨質を劣化させるような病態(ステイロイド使用者,糖尿病など)を有する者が,脆弱性骨折を発症する.また,加齢に伴い,骨形成能が低下することでも骨強度は低下する(図7-25)

▼疫学

 わが国の原発性骨粗鬆症の患者数は,男性300万人,女性980万人で合計1,280万人と推計されている.

▼分類

 骨粗鬆症は,原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症とに分類される.

原発性骨粗鬆症

 続発性骨粗鬆症の原疾患(表7-28)や,その他の骨量低下の原因を有しない骨粗鬆症患者.

続発性骨粗鬆症

‍ 表7-28に示す原疾患を有する骨粗鬆症患者.

▼診断

 骨粗鬆症による脆弱性骨折の既往歴を有する者は,次の骨折の発生リスクが高まるため,まず,骨折歴の有無が診断においても重要である(表7-29).なお,骨密度は原則として二重エネルギーX線吸収法(dual ene

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?