疾患を疑うポイント
●退行期に加齢とともに急速に増加する.
●脆弱性骨折の発生を特徴とするが,一般生化学検査に異常値を認めない.
学びのポイント
●骨強度の低下によって脆弱性骨折が増加する慢性疾患.
●骨強度は骨量と骨質の2つの要素から決定される.骨量は骨密度ともよばれる.代表的な測定法にDXA法がある.
●骨代謝のバランスを整え,骨量を回復するために,骨吸収抑制薬と骨形成促進薬とが用いられる.
▼定義
骨粗鬆症は,低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし,骨の脆弱性が増大し,骨折の危険性が増大する疾患と定義される.骨強度は,骨量(骨密度)と骨質とによって定義される.骨量は骨密度検査で測定する.骨質とは,骨微細構造・骨代謝回転・微小骨折などを含む概念的な言葉である.
▼病態
骨は成人に達すると最大骨量を獲得するが,その後は徐々にカルシウム出納は負に傾く.特に女性は,閉経を機に急激に骨量が減少し,骨強度が低下する.このなかで,最大骨量が少ない者,骨量減少速度が速い者,骨質を劣化させるような病態(ステイロイド使用者,糖尿病など)を有する者が,脆弱性骨折を発症する.また,加齢に伴い,骨形成能が低下することでも骨強度は低下する(図7-25図).
▼疫学
わが国の原発性骨粗鬆症の患者数は,男性300万人,女性980万人で合計1,280万人と推計されている.
▼分類
骨粗鬆症は,原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症とに分類される.
➊原発性骨粗鬆症
続発性骨粗鬆症の原疾患(表7-28図)や,その他の骨量低下の原因を有しない骨粗鬆症患者.
➋続発性骨粗鬆症
表7-28図に示す原疾患を有する骨粗鬆症患者.
▼診断
骨粗鬆症による脆弱性骨折の既往歴を有する者は,次の骨折の発生リスクが高まるため,まず,骨折歴の有無が診断においても重要である(表7-29図).なお,骨密度は原則として二重エネルギーX線吸収法(dual ene